発達障害の子とゲーム|注意したい5つのデメリットと、親ができる“ちょうどいい”工夫

「ゲームってやっぱり悪いのかな」
「でも、禁止にしたらかえって反発しそう…」

発達障害のある子どもとゲーム。
その関わり方に、頭を悩ませている方は多いと思います。

前回の記事では、**ゲームの「良い面」「育つ力」**についてお伝えしましたが、今回はその反対。
「ゲームのデメリット」について、エビデンスと親の工夫をセットでご紹介します。


1|長時間プレイ・ゲーム依存になりやすい

🔺デメリット

ADHD傾向のある子は「切り替えの苦手さ」「刺激への強い欲求」などから、ゲームに過集中しやすい特性があります。
気づけば2〜3時間…やめられず、他のことが手につかないという声もよく聞きます。

📖エビデンス:ADHD傾向の子は、ゲーム依存傾向が高い(Gentile et al., 2011/WHO「ゲーム障害」正式認定)

✅改善策

✔︎ 「〇時から〇時までは自由時間ね」という大きめの枠を設ける
→ 細かく縛るより、“ゆるい自由枠”の中で遊ぶ方がストレスが少なく、自主性も育ちます。

✔︎ ゲーム以外の楽しみもセットで用意する
→ おやつ・外遊び・読書など、「ゲームしか選択肢がない」状態にしない。

✔︎ 完全に放置せず、ときどき話しかけたり外へ誘ったり
→ 「そのステージすごいね!」「終わったら一緒にアイス食べようか?」など、自然に関われる声かけが、過集中からの切り替えのきっかけになります。


2|睡眠リズムが乱れやすい

🔺デメリット

ゲームの刺激やブルーライトにより、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑えられ、寝つきが悪くなる傾向があります。
特に就寝直前のプレイは要注意。

📖エビデンス:夜間のゲーム使用が睡眠の質を低下させる(Weaver et al., 2010)

✅改善策

✔︎ 「ゲームは夕方まで」と時間帯を決める
→ 夜18時以降は画面を使わず、体や気持ちを“夜モード”に切り替える

✔︎ 寝る前の“落ち着きルーティン”をセットにする
→ 読書、アロマ、ぬるめのお風呂など、「寝る前は静かなことをする時間だよ」と伝える

✔︎ 眠れなかった時の“緊急対応メニュー”も用意しておく
→ 「目をつぶって聞ける音楽」「塗り絵」などを用意しておくと、子どもも安心します。


3|感情コントロールが難しくなる

🔺デメリット

ゲームに熱中しすぎて、失敗すると怒る、親に対して暴言を吐く、兄弟に手が出る…など、イライラや攻撃的な言動が出てしまうことがあります。

📖エビデンス:暴力的ゲームの長期プレイは、攻撃性と関連がある(Anderson et al., 2010)

✅改善策

✔︎ 内容選びを意識する(なるべく平和な・創作系のゲームを選ぶ)
→ マインクラフトや牧場系、パズルなどは、感情の乱れが出にくい傾向があります。

✔︎ 負けて怒ったときは、「悔しかったんだね」と気持ちに名前をつけてあげる
→ 怒りの奥にある感情を受け止めることで、“気持ちを自分で理解する”力が育ちます。

✔︎ プレイ後は必ず「一区切り」を入れる
→ 終わったあとにおやつを食べる、おしゃべりする、トイレに行くなど、生活への再接続ポイントをつくることが効果的です。


4|現実とゲームの区別がつきにくくなる

🔺デメリット

特にASD傾向の子は、「現実とフィクションの線引き」が曖昧になりやすく、

  • ゲームのルールをそのまま現実に持ち込む
  • 会話や行動が“キャラ風”になる
    などの影響が見られることがあります。

📖エビデンス:自閉症スペクトラム児は、想像と現実の区別がつきにくい傾向(Baron-Cohen, 2009)

✅改善策

✔︎ 「これはゲームの中のことだね」と言葉にして区別をサポート
→ 大人が見えている“現実”を、わかりやすい言葉でシェアする

✔︎ 終わったあとは“生活モードに戻る儀式”を設ける
→ 例:ぬいぐるみの整理、テレビ体操、片づけタイムなど、現実感を取り戻す行動を習慣に。

✔︎ 一緒に遊んで「これは現実じゃないよね」と会話を重ねる
→ ゲーム世界を理解した上で、親子で境界線を確認できる関係がベストです。


5|体を動かす機会が減る

🔺デメリット

外遊びが減る、座りっぱなしになる、姿勢が崩れるなど、身体発達への影響も心配されます。
とくに小学生期は、運動習慣がその後の健康に大きく関係します。

📖エビデンス:WHOの指針では、5〜17歳の子どもに1日60分以上の身体活動を推奨(2019年)

✅改善策

✔︎ 外遊びの“前後”にゲーム時間を組み合わせる
→ 「お外行ったあとにゲームしよう」など、セットにするとどちらも楽しみになります

✔︎ ゲーム感覚のある体遊びを取り入れる
→ Switchの体感ゲームや、YouTubeのキッズエクササイズなど、「体を動かすのも楽しい」と思える工夫を

✔︎ 親も一緒に体を動かすスタンスが◎
→ 子どもだけに「外で遊びなさい」と言うのではなく、一緒に散歩・買い物・ボール遊びなどを楽しむ方が自然に続きます


🔚まとめ|「ゲームは悪」ではなく「関わり方がカギ」

ゲームにはデメリットもある。
でも、そこに大人が関わることで、
✅ 落ち着く時間
✅ 自分を理解する時間
✅ 現実とつながる時間
へと変えていくことができます。

大切なのは、「やめさせる」ではなく、
**“どうやって一緒に使いこなすか”**という視点。

子どもが好きなことに夢中になる姿を「よし」としながら、
それを生活のリズムに乗せていくサポートが、親の役割かもしれません。


📌次回は…

  • おすすめの非暴力・創作系ゲーム紹介
  • 我が家のゲームルール実例
  • ADHDにやさしいゲーム時間の整え方

などをお届け予定です。
気になる方は、ぜひコメント・シェアしてくださいね!

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